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2025年1月1日掲載
独立行政法人 国立病院機構東近江総合医療センター
院長 野﨑 和彦
2024年度は6年に1回の診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定の年で、各医療機関では対応に追われることとなりました。また、働き方改革関連法が2019年4月から施行され、2024年4月からは医師も対象となり、勤怠管理、タスク・シフト/タスク・シェア推進、複数主治医制、ICの時間内厳守、ICTによる業務効率化、健康相談・ハラスメント対策などを進めながら、引き続き医療機関内での労働環境改善を図る必要があります。医療全体における「医療DX」も進められており、2023年1月から運用されている「電子処方箋」、保険証とマイナンバーカードの統合などが進められ、いよいよ複数医療関連機関での情報共有が可能となります。今後15年の間で人口構成が大きく変わる中で、社会保障費用を医療、年金、社会福祉(介護・少子化対策など)に適正に再配分していく必要があります。特に高齢者人口の増加に伴い介護や在宅支援は喫緊の課題となっており、各病院は地域医師会の先生方との連携が益々必要となります。急性期治療ののち地域における多職種連携に支えられた医療・介護・在宅のスムースな移行、在宅における診療・看護や薬剤管理への適切かつ持続的な対応など、疾患予防や地域での共生に視点を置いた「やさしい医療」施策が推進されていくと思われます。保険診療内では一般企業と異なり収益性を追求することは不可能であり、ベースアップによる人件費の増加、価格上昇による材料費や光熱費などの高騰により各医療機関の努力において経営を維持することは難しくなっています。今後、医療職を含め生産年齢人口は減少していきますので、過剰投資を避け限られた医療資源を有効に共有しなければなりません。地域医療とは地域で必要な医療を提供していくことですが、各医療機関との密な連携のもと、疾患・患者数に応じた医療行政単位を決めることにより地域における適正な医療供給体制を構築する必要があります。今年も皆様が幸せに暮らせて滋賀県の医療がさらに健全化することを祈っております。
2025年1月1日
東近江総合医療センター
病院長 野﨑 和彦